マレーシア飲食ビジネスで思う事


ここ最近、弊社でもマレーシアでの企業に関するサポートが非常に
増えており、各社各様で思い描いた成功の道へ向けて邁進されています。
弊社は日本人にも非常に馴染みのある「Subang Jaya」と言う、セランゴール州内に
事務所を2000年から構えています。弊社のすぐ近くに、昨年の3月に20年近くも建設完成するのに時間を
要した、『Main Place』と言う、コンドミニアムとショッピングモールを
併設した複合施設がOPEN致しました。
以前はこの建設の中断している建造物の前に事務所を構えているがために
ローカル中華系の友人からは風水が悪い場所と言われ、実際に私の事務所周りは
閑散としたエリアでした。
しかし、『Main Place』が開業してからは、風水が良くなったのか
人の流れが大きく変化し、駐車場の確保にまで困るほど、環境が激変しています。
徒歩圏内と言う事で、頻繁にショッピングモールを訪問しているのですが、
ここ最近は日本人、韓国人、白人等の今まではこの地域では見かける事の少なかった
外国人をよく見かける様になりました。
数人に何度かこの地を訪問した理由を聞くと、すぐ近くに在る、インター校へ
お子様を通わせているが為に、買い物でここを訪れている事が解りました。
このモール内には、開店寿司、スパゲッティなど洋食一般、及び、豚カツ屋が
入居しており、私にとっては天国の様な事務所環境が整い、嬉しい限りです。
その中でも豚カツ屋に頻繁に出掛けるのですが、元々人を観察するのが好きな
性格+個人事業主と言う事で、お店を訪問する客層などを観察している内に
飲食店での成功のカギは 『マレーシア顧客ニーズに合う事業構築』が
やはり絶対不可欠で有る事を再認識したため、ここでこのお店を元に
少し感想をさせて頂きます。
1.金曜日の昼食時に訪問
  この場所は日本企業が多く進出しているシャーラム工業団地からも至近距離で有る為
  毎週金曜日のお昼は、日本人駐在員さんで大賑わい。
  (金曜日は平日よりも休憩時間が長い為に、外食する事が駐在員さんが多いのが理由)
2.平日の昼食時に訪問
  毎回、数組、人数にして15人も入ってればと言う感じの営業
3.日曜日 お昼に訪問
  隣の回転寿司などは、賑やかですが、この店は、平日と変わりなし。
マレーシアで飲食ビジネスを展開するためには、先ずは、顧客層を決める必要がある。
A:人種を問わない (人種を問わない=最低でもポーク、ラードフリーが条件)
豚カツ屋さんは当然豚肉を提供するので、顧客ターゲットは、マレー人以外の人が
対象と成る。
*Main Placeはその顧客ターゲットに合致した場所なのか?
『Main Place』は Subang Jaya のUSJと言う、中華系の比較的
裕福な人々が多く居住している新興住宅街の一角にある為、顧客層は中華系が多いので
顧客ターゲットには合致した場所選びで間違いないでしょう。
では、何故にビジネスがもう一つなのでしょうか?
味: 日本の豚カツそのままで、非常に美味しいです。
価格:セットランチはRM30以下で、本格的な豚カツに、ごはん、千切りキャベツ
   豚汁、漬物、デザートが付いています。 また、ごはん、キャベツ、豚汁は
   おかわり自由と、非常にお得です。
味も良く、価格も手ごろで、おかわり自由で非常にお得感満載なのに
何故に顧客入りがもう一つなのでしょうか?
【観察】
毎回私は入り口付近に席を取るので、全体を見渡せることが出来ます。
そこで、気が付いたことが一つ
○1 入り口付近にメニューを置いているのですが、そのメニューを眺めてる人の
  大半は入店しません。
○2 お客の年齢層が、若者グループ、又は若い家族連れで、年配者が居ない(少ない)
○3 比較的体格の良い方が、男女問わずに顕著である
これは何を意味しているのでしょうか?
○1:食事の内容が自分の思っている日本食と違う
  :豚カツが何と知らず、写真では味などが想像できない
  :揚げ物中心であるために、敬遠
豚カツを知らない人たちかも知れないので、メニューと共に豚カツ実物を展示したり
試食を提供するのでも良いのではないだろうか?
揚げ物は太るイメージを持って食するのを敬遠されている方が実はマレーシアの
華人を中心に非常に多いのは事実です。
特に、中年以上の方々にはその傾向は非常に強いかと思いますので、試食などで
健康にも良いなど、認知度を上げる努力も必要でしょう。
前触れが長くなりましたが、この店を訪問している現行の顧客を観察して
若者、体格の良い、中華系(日本人以外)ばかりなので、このショッピングモールに
訪問している顧客の内の数割しか、見込顧客が存在しないと言えるでしょう。
顧客数を上げるためには、一店舗の努力とは関係なく、モール全体の顧客数の向上が
絶対条件と成りますが、その様な他力本願を期待しても良いのでしょうか?
では、顧客数を上げる為にはどうするのか?
顧客ターゲット層を広げるのが、自社で可能な対策ではないでしょうか?
このブログを書いている時に、『吉野家、はなまるうどん』の開業のニュースの中で
中国で提供している豚骨だしのうどんは提供せずに、鶏だしうどんを提供するとの
記事が載っていました。 また、ドトールコーヒーのマレーシア展開では
「フードコートへの入居やスタンド風の小型店など、マレーシアの顧客ニーズに合う新業態での
アプローチも検討していくという。」 と言う記事も紹介されていました。
上記2プロジェクトは、マレーシアで多くの飲食成功事例をお持ちの実業家との共同事業で
流石、マレーシアを熟知している方がパートナーだと思う対応をしていると思います。
このブログで私が無いを言いたかったかと言うと、諸外国でいかに成功したビジネスであったと
しても、マレーシアなどの第三国でビジネスを成功させるためには、成功体験を引きずらない
地元に沿ったビジネス展開をする必要もあると言う事です。
(吉野家さんも、90年代後半に一度進出して、今回は2度目のマレーシア進出です。)
先の豚カツ屋さんが、例えばこのままの形態でのビジネスを展開するとすれば、実際の顧客情報を
分析して、見込顧客層の多い地域に出店する事が必要ではないでしょうか?
若者が多い地域、例えば、中華系の学生が多く且つ、RM30の予算が出せる人々の集まる場所。
そんなに多くはないでしょうね。
(大型ショッピングセンターのフードコートなどは対象でしょう)
もしくは、メニューに豚カツ以外の一般受けをする品を追加する勇気を持つのも
面白いのではないでしょうか? 海鮮丼や、ブリカマ定食など、幅が広がると思います。
海を越えてのマレーシアでのビジネス、同じ日本人として応援したいし、成功して貰いたいです。
今回のブログは、食事をしていて感じた私なりのビジネス考察論でした。
観察させて頂いた豚カツ屋さんは当然日本では大成功されているし、十分な市場調査も
実施されているでしょうが、マレーシアでは比較的難しいカテゴリー(豚肉)で進出を
されていた為に、個人的に今後の展開が非常に興味が有ります。
今回の内容は、あくまで個人的な意見なので間違いも有るかもしれませんが、
一意見として拝読して頂ければ幸いです。
この様なマレーシアビジネス観察に付いても
Step1Malaysia.com

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